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tomoss yanaka

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主要用途:住宅+賃貸住宅+店舗
構造:木造
構造設計:間藤構造設計事務所 (1・2期工事)
オーノJAPAN (3期工事)
施工:渡辺富工務店
所在地:東京
竣工:2019 (1・2期工事)・2024 (3期工事)
撮影:小川重雄

台東区谷中、下町風情あふれる住宅地での計画である。最初にご相談があったのは2016年、当時、敷地には大正時代から建つ母屋のほか、アパート2軒、木造住居2軒が建っていた。これらの建物に囲まれた中庭は、様々な樹々に覆われ、一画には小さな祠もありお稲荷様まで祀られていた。建主は先祖から受け継いだこの土地と建物、生活を大切に守り続け、今も毎朝毎夕のお参りも欠かさない日々を過ごされている。
2016年〜2019年、第一期のプロジェクトとして、まずは母屋の建替えをおこなった。既存母屋は昔ながらの日本家屋で、すまいは良質な部材でひとつひとつ丁寧に作られていた。床柱・床框、雪見障子・襖などの建具類、欄間、敷石・沓脱石、様々な部材や調度品、解体後廃棄するにはあまりにももったいない。この場所に刻まれた記憶を継承するように、これらの部材をできるだけ保存し、建て替える住宅の中に取り入れる計画とした。新築でありながらも、あたかも昔から存在していたようなすまいとなっている。前面の道に対しては、谷中らしい街並みを取り戻すべく、切妻平入りの形式とし、深く出した庇の下に透過性のある縦格子のファサードを作った。
その後、第二期工事を続けて計画、敷地南側に平屋の賃貸住宅を建設、引き続き中庭の整備をおこなった。
2022年より第三期プロジェクトがスタートする。母屋に連続する形で、道路沿いに賃貸の店舗+住宅を計画した。設計において重視したのは、家主も日々の生活で感じている南北に抜ける土地の風。中庭〜前面道路に抜ける風の道を意識して、平面計画・開口部の配置をおこなった。母屋と賃貸棟の隙間にもしっかりと風の抜け道ができるよう、間をとりながら、植栽を配置した。前面道路に対しては、母屋と同様、切妻平入りの屋根、庇下の縦格子をつくり、反復性・透過性のあるファサードをつなげている。
建築単体ではなく、連続体としてとらえることで、谷中という特別な場所で、街並みとしての魅力が取り戻せればと考えている。

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